畑を荒らしているのは、イノシシなのか、シカなのか、クマなのか。
中山間地域で農業をしている人にとって、これはけっこう切実な問題だ。動物の種類によって対策が違う。電気柵の高さも、罠の種類も、届け出先も変わる。
でも、被害に気づくのはたいてい「朝、畑に行ったら荒らされていた」あとの話で、犯人の姿を見ることはほとんどない。
そこで、AIに写真を見せて判定してもらう仕組みをつくっている。
まず、デモを触ってみてほしい
今あるのはプロトタイプだ。
トレイルカメラ(野外用の自動撮影カメラ)で撮った画像をアップロードすると、AIが動物の種類を検出して、危険度を表示する。
🔗 獣害検出AI デモを試す使っているのはYOLOv8という物体検出モデルで、クマ、イノシシ(ウシとして検出)、シカ、タヌキなどを判定できる。まだ汎用モデルなので精度に限界はあるけど、「何かいる」「それは何か」を判断する入口としては動いている。
※初回アクセス時、Restart this spaceというボタンを押してください。起動までに数分時間がかかります。Buildingという文字がしばらく表示されます。

Browse filesアイコンを押して動物の画像をアップロードしてください。
でも、判定するだけでは足りない
写真を見せて「イノシシです」と言われても、それだけでは現場の役に立たない。
本当に必要なのは、その先だ。
検知したら、どうするのか。
考えている全体の流れはこうなっている。
① 撮影する 畑や山の入口にカメラ付きの小型デバイスを設置。動きを検知したら自動で撮影する。
② 送信する 格安SIMまたはWi-Fiで、撮影した画像をサーバーに送る。デバイスは撮って送るだけ。判断はサーバーに任せる。
③ 判定する サーバー上のAIが画像を解析。動物の種類と危険度を判定する。
④ 通知する 判定結果に応じて、関係者に自動通知。
- 通常(シカ・タヌキ等)→ ダッシュボードに記録
- 注意(イノシシ等)→ 農家に通知
- 緊急(クマ等)→ 農家・猟友会・行政に一斉通知
⑤ 蓄積する 出没データを蓄積して、いつ・どこに・何が出たかをマップ化。行動パターンから罠の最適配置も提案できるようにしたい。
農家がやることは、ほぼゼロにしたい
この仕組みで大事にしているのは、使う人の負担を最小限にすることだ。
農家がやることは2つだけ。
- デバイスを畑に設置する(杭に括りつける程度)
- 通知が来たら見る
初期設定、AI判定、通知送信、データ蓄積は全部システム側で管理する。スマホアプリのインストールすら不要で、通知はLINE・メール・SMSなど、使い慣れた手段を選べるようにする。
特定のサービスに依存しない設計も重要だ。通知の本体はWebダッシュボードに置いて、LINEやSMSはあくまで「お知らせ」の役割。サービスの仕様が変わっても、通知手段を差し替えるだけで済む。
コストの話
実際に運用するとしたら、どれくらいかかるのか。
デバイス1台あたりの初期費用(約12,000円)
- カメラ付きマイコン(ESP32-CAM等):約3,000円
- 通信モジュール:約2,000円
- ソーラーパネル+バッテリー:約5,000円
- 防水ケース・取付金具:約2,000円
月額ランニングコスト
- クラウドサーバー:約1,000円(全体で1台)
- 格安SIM:約500円/台
- 通知:基本無料(LINE・メール)
1台運用なら月1,500円、10台運用でも月6,000円程度。大規模なシステム導入と比べれば、桁が違う。壊れたらデバイスだけ交換すればいい。
いまできていること、これからやること
| 段階 | 内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 画像からの動物検出 | YOLOv8で種類・危険度を判定 | ✅ デモ公開中 |
| 日本の野生動物に特化したモデル | カスタム学習データで精度向上 | 🔜 準備中 |
| デバイス→サーバーの自動撮影・送信 | ESP32-CAM + 格安SIM | 🔜 検証中 |
| 自動通知(LINE・メール・SMS) | 危険度に応じた多層通知 | 📋 設計済み |
| 出没データの蓄積・マップ化 | ダッシュボードで可視化 | 📋 設計済み |
| 罠の最適配置提案 | 行動パターン分析 | 💡 構想段階 |
まだ道のりは長いけれど、最初の一歩は動いている。
この仕組み、他の地域でも使えます
獣害は氷見だけの問題じゃない。全国の中山間地域で、同じことが起きている。
デバイスの設置場所やAIの学習データを変えれば、どの地域でも使える。仕組みは同じで、地域ごとにカスタマイズするだけ。
興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。→ ブラウザで試してみる


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